「異業種からWeb業界にチャレンジしたい。けれど、パソコンのことはよくわからない。購入するにもどれを選べばいいか分からない…」という人向けに、ノートパソコンを選ぶときのポイントをご紹介します。
目次
ノートパソコンを何に使うか、目的をハッキリさせる
ノートパソコンに限らずパソコンの価格は一般的に、スペックの高さと比例しています。しかし、スペックが高くないからダメ、というわけではありません。例えば、インターネットで調べ物をしたり、メールやOfficeツール(Word、EXCEL、PowerPointなど)、タスク管理ツールなどでノートパソコンを使う人は、スペックの高すぎるモデルを買っても「その処理にそんなにコストをかけるのはもったいない」という状態になってしまいます。
一方でPhotoshopやIllustratorのようなデザインアプリケーション、After EffectsやPremiere Proといった動画編集アプリケーションのような処理能力の高さが求められるものでは、スペックが十分ならサクサク動くけれど、スペックが足りないと画面がフリーズしたり操作中の動きがカクカクする、といったことが起こります。
そのため、パソコンを選ぶ際は、何に使用するのか、使用したいのか、目的をハッキリさせることが大切です。使用目的が分かれば、必要な性能の目安も分かり、適したモデルが見つけやすくなります。それに、パソコンに詳しい友達やショップの店員さんからアドバイスを得たいときも、より適切な答えを引き出しやすくなります。
使いたいソフトウエアの推奨環境もチェックしておく
パソコンを動かすためにはソフトウエアが必要です。そして、ソフトウエアには、「これくらいのスペックがないと動きませんよ」という「必要環境」や、「これくらいのスペックがあると快適に動きますよ」という「推奨環境」があります。(メーカーによって呼び方が異なります)。
例えば、Photoshopでは2GB以上のメモリが必要で、8GB以上を推奨しています。
参考:Photoshopの必要システム構成
https://helpx.adobe.com/jp/photoshop/system-requirements.html
中には、Windowsでしか動かない、Macでしか動かない、というソフトウエアもあります。パソコンの使用目的や使いたいソフトウエアが決まっている場合は、必要環境、推奨環境もチェックしておきましょう。
自分にあったノートパソコンを絞り込んでいく方法
ノートパソコンを選ぶときは、(1)OSを決める、(2)大きさを決める、(3)スペックを決めるという3ステップで選んでいくと、絞り込みやすくなります。
(1)OSを決める
OS(Operating System)は、パソコンを動かすための基本ソフトウエアです。パソコン全体の管理・制御をする役割があります。Microsoftの「Windows」、Appleの「Mac OS」が有名です。その他、Googleの「Chrome OS」、オープンソースのLinuxなどがあります。OSによって操作性が異なり、スマホやプリンターなど周辺機器との連携のしやすさなども変わっていきます。
- Windows:日本でも世界でも最も利用されているOS。使えるソフトウエアも多く、いろいろなメーカーのノートパソコンに搭載されています。
- Mac OS:Appleが自社のハードウエア用に設計したOSで、シンプルで使いやすい点が特徴。iPhoneやiPadなどとの連携もしやすくなっています。
- Chrome OS:Chromebook用に設計されたブラウザベースのOS。Chromeブラウザの機能拡張やアプリで、さまざまなソフトウエアを動かします。起動の早さやAndroidアプリが使える点もユニークです。
(2)大きさを決める
ノートパソコンの良さは、持ち運びができる点です。コンパクトなモデルは重量が軽く、持ち運びがしやすくなりますが、ディスプレイのサイズは小さくなってしまいます。一方、ディスプレイのサイズが大きくなると作業しやすくなりますが、重量が重くなったり、バッテリーの消費が早くなったりします。
- ~11インチ未満:ミニノートと呼ばれるサイズ。軽量コンパクトで持ち運びがしやすい。1.0kg前後のものが多い。
- 11~14インチ:モバイルノートと呼ばれるサイズ。バランスがよく、外に持ち運んで使う人にも人気。1.0kg〜1.5kgのものが多い。
- 15インチ〜:スタンダードノートと呼ばれるサイズ。画面が大きく使いやすいため、主に自宅で使う人に人気。スペックが高いモデルも多く、重量は1.5kg〜2.0kg前後のものが多い。
(3)スペックを決める
パソコンは、大きく分けて5つの役割(機能)を担う部品で構成されています。これらの装置・機能が持っている性能の高さ、スペックの善し悪しが、パソコンの性能の高さを決める要因になっています。
- 入力装置:情報をパソコンに取り込む機能(キーボード、トラックパッド、ポートなど)
- 出力装置:情報をパソコンの外に出す機能(ディスプレイ、ポートなど)
- 記憶装置:入力されたデータを記憶する機能(メモリ、ストレージなど)
- 演算装置:データを処理する機能(CPU)
- 制御装置:パソコンの各装置をコントロールする機能(CPU)
まずはCPU、次いでメモリ、ストレージと検討していくといいでしょう。
CPU(Central Processing Unit)
CPUは、ノートパソコンの頭脳と呼べる装置。IntelとAMDという2大メーカーがあります。同じメーカーのノートパソコンでもCPUが違うだけで数万円違うことは珍しくありません。例えばIntelの場合、性能によってグレードが分けられています。
Xeon-E:ワークステーション向け。性能はとても高い。
Core i9:クリエイター向け。性能は非常に高い。
Core i7:ハイエンド向け。性能は高い。
Core i5:ミドルクラス向け。性能は高い。
Core i3:ミドルクラス向け。性能は普通。
Pentium:低価格ノートパソコン向け。性能はやや低め。
Celeron:格安ノートパソコン向け。性能は低め。
Atom:格安タブレット向け。性能はCeleronより低め。
各グレードの中で「世代」や「コア数」、「クロック数」によって性能は変わってきます。
コア数:CPUの頭脳の数。複数の頭脳があれば、同時並行でいろいろなデータを処理できます。
クロック数:CPUの処理の速さ。単位はHz(ヘルツ)で高いほど、同じ時間で多くの処理ができます。
将来的に画像編集や動画編集などをやりたい人は、Core i5以上のグレードがあるといいでしょう。
メモリ
ノートパソコンでメモリと言うときは、RAM(Random Access Memory)を指すことがほとんど。何らかの処理をしたり、画面上にデータを表示したりするときに使います。「机の広さ」で例えると、メモリが多い⇒机が広い⇒一度にたくさんの作業ができる、ということになります。
ネットサーフィン、ちょっとした資料作成をする程度なら4GB以上、複数のソフトウエアを同時に開いて作業する、Photoshopで画像編集をする、オンラインゲームをするなど、負荷のかかる作業をするなら8GB以上はほしいところです。
ストレージ
パソコンのデータを保存しておく記憶装置で、ハードディスクとも呼びます。「HDD(Hard Disk Drive)」と「SSD(Solid State Drive)」がありますが、ノートパソコンでは処理の速さや音の静かさ、物理的な大きさからSSDを採用しているメーカーが多いようです。
写真や資料を保存する程度なら256GB、音楽ファイルや動画などを大量に保存するなら512GB以上はほしいところです。逆にデータはクラウドで管理する人は、32GBなど、それほど大きな容量は必要ありません。
ディスプレイ
ディスプレイは物理的な大きさだけでなく、解像度も意識しましょう。解像度は画面をいくつの点で表示できるかという意味で、ドットやピクセルという単位で表します。解像度が高いほど、画面はキレイに見えるようになります。
また、ノートパソコンに採用されている液晶ディスプレイは、大きく分けて2種類あります。表面がツヤツヤしている「グレア(光沢)液晶」と、表現がマットな「ノングレア液晶」です。
グレア液晶は発色やコントラストが高いという特徴もありますが、表面がツヤツヤしているためライトの光を反射したり、物が映り込みやすかったりする特徴もあります。ノングレア液晶は映り込みがしづらく、グレア液晶よりも目の負担は少ないと言われています。
ポート
その他、ノートパソコンの本体には、USB接続で周辺機器と接続するためのポートと呼ばれる差し込み口があります。モニターやマウス、デジタルカメラなど、ケーブル接続したい周辺機器がある人はチェックしておきましょう。
入力装置
キーボードが叩きやすい、トラックパッドが使いやすい位置にあるなど、機能の善し悪しというよりは、好みで選ぶのがいいと思います。
まとめ
パソコン関連のハードウエアは技術革新が早く、1年もすると旧モデルになってしまいます。かといって、モデルチェンジのたびに買い替えられるほど安いものでもありません。やりたいことの「ちょい上のスペック」を選ぶと、数年間はストレスなく使えるでしょう。