在宅勤務やテレワーク、リモートワークの広がりで、離れた場所にいる相手とリアルタイムにコミュニケーションをとれるオンラインミーティングツールに注目が集まっています。いろいろなツールやサービスがある中で「どれを使えばいいのかわからない!」という人も多いのでは?今回はオンラインミーティングツールについて紹介します。
オンラインミーティングに必要なものとメリット・デメリット
オンラインミーティングは、ネットワークを介して離れた場所にいる人とお互いの姿を映像で見ながら会議をすること。テレカン(teleconference=遠隔会議)、Web会議、テレビ会議、ビデオ会議、いろいろな呼び方がありますが、一般的にはほぼ同じ意味で使われています。中には、インターネット回線を利用したものを「Web会議」「ビデオ会議」、専用の会議室や機材、回線を利用したものを「テレビ会議」と厳密に分けて呼ぶ人もいます。
オンラインミーティングに必要なもの
オンラインミーティングでは離れた場所にいる相手の姿を見ながら会議をするので、映像・音声の入出力機器(映像を撮影するカメラ、映像を映すモニター、音声を入力するマイク、音声を出力するスピーカー)と送受信するネットワーク環境が必要です。
ネットワーク環境により、社内ネットワークで運用するオンプレミス型と、インターネット経由で提供されるASPを利用するクラウド型に分けられます。オンプレミス型の場合は社内ネットワークに接続できるVPN環境が必要ですが、在宅勤務の場合はクラウド型を利用するのがコスト的に現実的でしょう。
クラウド型の場合は、インターネットにつながるカメラ付きノートPCがあれば十分です。自宅のデスクトップPCをテレワーク/リモートワークに使う場合は、映像・音声の入出力ができるか事前に確認しておきましょう。もしそれらがない場合は、スマホで代替するか、マイク付きのイヤホンやヘッドセット、Webカメラなどを準備する必要があります。
カメラやスピーカーをスマホで代替する場合、アプリが必要なら事前にインストールしておきましょう。また、会議中に電話を着信して画面が自動で切り替わるのが心配という人は、会議開始前にスマホの機内モードをオンにしてWi-Fiのみをオンにしておくといいでしょう。
オンラインミーティングのメリット・デメリット
メリットは、相手との予定が合えば、すぐに会議を始められること。在宅勤務なら自宅が会議室になるので移動時間もかかりません。
デメリットは、必要な機器や環境を準備するコストがかかること。自宅にインターネット回線がなく、フリーWi-Fiやスマホのギガだけでやりくりしている人は、セキュリティや通信費などのコストを考慮してインターネット回線を用意したほうがいいでしょう。また、参加メンバーの誰かが機材トラブルになると、復旧するまで会議がストップしてしまうのはオンラインミーティングならではのデメリットかもしれません。
オンラインミーティングで気をつけること
オンラインミーティングでは、オフィスの会議室に集まって話をするように「(資料を見ながら)ここのアレがさぁ」みたいな感じだと相手に伝わらないことがあります。そのため、何について話しているのか明確になるよう話し方を意識するとスムーズに進みます。
また、各オンラインミーティングサービスには自分の画面を共有する機能もあり、伝えにくい内容の会話をする際にはうまく有効活用してください。
会議で資料が必要な場合は、目を通してもらえる時間の余裕をみて、事前に資料を共有しておくのが理想的。オフィスの会議室ならメンバーが集まった時点で資料を配布しても問題ないですが、オンラインミーティングではメンバーが集まってからデータを送信して、ダウンロードしてもらうことは時間のロスになってしまうからです。
また、オンラインミーティングでは使用するアプリを最新版にアップデートする、不特定多数にURLを教えない、参加メンバーを限定するなど、セキュリティへの配慮も忘れずに。
タイプ別、オンラインミーティングサービス
主に自宅でテレワーク/リモートワークをすることを想定して、クラウド型のビデオ会議ツールをいくつかピックアップしてみました。
G Suiteのアカウントで会議を開くなら「Google Hangouts Meet」

- 費用:G Suite各エディションで利用可能(追加費用なし)
- 最大参加人数:100人(G Suite Basic)、150人(G Suite Business)、250人(G Suite Enterprise※)
- 参加方法:Webブラウザ、モバイルアプリ、電話からのダイヤルイン、Google Meetハードウエアなど
- 主なポイント:ビデオ通話、テキストチャット機能、画面共有機能、録画機能(G Suite Business以上※)
- 会議URL:固有のURL(自動生成)
※2020年9月30日まですべてのエディションで利用可能
「Google Hangouts Meet」は、G Suiteのコアアプリとして提供されているビデオ会議アプリ。Meet上で設定するほか、Googleカレンダー上で会議を設定したりファイルを共有したりできます。
また、会議URLが固有のため、曜日や時間が決まっている定例会などでは、毎回会議URLを伝える手間が省けるのも便利です。G Suiteのアカウントを持っていない人など、外部のメンバーと会議する場合は、会議URLを伝えて個別にアクセス権を付与して参加してもらう形になります。
G Suite Business以上のエディションなら録画機能も利用できるので、録画ファイル(オーナーのGoogleドライブに保存される)を共有すれば、参加できなかったメンバーとの情報共有や可能です。
Google Hangouts Meet
https://meet.google.com/
無料のGoogleアカウントで会議を開くなら「Google ハングアウト」

- 費用:無料
- 最大参加人数:10人
- 参加方法:Webブラウザ、デスクトップアプリ、モバイルアプリ
- 主なポイント:ビデオ通話、テキストチャット機能、画面共有機能
- 会議URL:固有のURL(自動生成)
「Google ハングアウト」は、無料のGoogleアカウントで利用できるチャット、ビデオハングアウト(ビデオ通話)、ネット通話の統合サービス。「Google Hangouts Meet」の一部機能制限版、というイメージです。最大参加人数と録画不可な点が大きく違います。
なお、2020年6月以降にGoogle Hangouts Meet に完全移行する予定だそうです(利用可能機能は今のところ不明)。
Googleハングアウト
https://hangouts.google.com/
Office 365のアカウントで会議を開くなら「Microsoft Teams」

- 費用:Office 365 Business Premium(Microsoft 365 Business Standard)/Office 365 Business Essentials(Microsoft 365 Business Basic)で利用可能(追加費用なし)
- 最大参加人数:250人
- 参加方法:デスクトップアプリ、Webブラウザ、モバイルアプリ、専用デバイス
- 主な機能:ビデオ通話、テキストチャット機能、画面共有機能、ファイル共有、録画機能、背景ぼかし機能
- 会議URL:固有のURL(自動生成)
※Office 365 Business(Microsoft 365 Apps for Business)では会議を開けません。
「Microsoft Teams」は、Office 365 Business Premium、Office 365 Business Essentialsで利用できるコミュニケーションツール。チャット、音声通話、ビデオ会議、ファイルの共有と共同編集、カレンダー共有など、チームでコラボレーションするためのさまざまな機能が用意されています。
会議予約は、プロジェクトやチームごとに開設したワークスペースのカレンダー上で予約するだけ。参加メンバー全員に通知が届き、カレンダー上のリンク経由で参加できるので、とても簡単にビデオ会議が開催できます。また、組織外のユーザーとビデオ会議をする際は、ワークスペースまたはビデオ会議単位で招待することで可能です。
在宅勤務で自宅からビデオ会議に参加する際「自宅の様子を見られるのはちょっと嫌だな」というときは、設定ひとつでビデオ会議の背景をぼかすことも可能です(Linuxを除く)。
Microsoft Teams
https://products.office.com/ja-jp/microsoft-teams/
Microsoftアカウントで会議を開くなら「Skype」のグループビデオ通話

- 費用:無料(電話との通話は有料)
- 最大参加人数:50人
- 参加方法:デスクトップアプリ、Webブラウザ、モバイルアプリ
- 主な機能:ビデオ通話、テキストチャット機能、画面共有機能、ファイル共有、録画機能(30日間保持)、背景ぼかし機能※
- 会議URL:グループチャットルーム/固有のURL(自動生成)
※Skype for Web、Skype for Linuxでは利用不可。
「Skype」は、Microsoftが提供するコミュニケーションツール。無料の音声通話、ビデオ通話、電話との通話、グループ通話、インスタントメッセージの送受信、ファイルの共有が行えます。グループビデオ通話は、グループチャットルームを作成し、他のSkypeユーザーを招待する形で利用できます。
招待した人だけの限定ルームはもちろん、固有のURLを生成・共有すればMicrosoftアカウントを持っていない人も招待可能。デスクトップアプリ、モバイルアプリでは、背景ぼかし機能も利用できます。
登録不要ですぐに会議を開ける「Skype」のフリーカンファレンス

- 費用:無料
- 最大参加人数:50人
- 参加方法:Webブラウザ(Skypeユーザーはデスクトップアプリ、モバイルアプリから参加可能)
- 主な機能:ビデオ通話、テキストチャット機能、画面共有機能、ファイル共有、録画機能(30日間保持)、背景ぼかし機能※
- 会議URL:固有のURL(自動生成)
※Skype for Web、Skype for Linuxでは利用不可。
「Skype」はWeb上からすぐに会議を開けるフリーカンファレス機能を提供しています。サインアップ不要・ダウンロード不要で、ほぼSkypeと同じ機能が利用できます。会議室を開くと固有のURLが生成されるので、それをメンバーに伝えて利用するイメージです。会議室のグループチャットに会議開始時間をメモしておけば、日時を指定した会議も開催可能です。
Skypeでグループチャットルームを作成するのと違う点は、招待された人だけの限定ルームを作成できない点。URLを知っていれば誰でもゲストとして参加できてしまうので、グループチャットに書き込む内容や録画するかどうかなど、慎重に利用する必要があります。
Skypeのフリーカンファレンスコール
https://www.skype.com/ja/free-conference-call/
多機能なツールを使って会議を開くなら「Zoom ミーティング」

- 費用:無料(基本プラン)〜
- 最大参加人数:100人(基本プラン)〜
- 参加方法:デスクトップアプリ、モバイルアプリ、Webブラウザ※
- 主な機能:ビデオ通話、テキストチャット機能、画面共有機能、ファイル共有、録画機能、ブレイクアウトルーム機能、ホワイトボード機能、バーチャル背景機能、ビデオフィルタ機能、入室パスワード
- 会議URL:固有のURL(自動生成)
※Webブラウザ版は一部機能制限あり
「Zoom ミーティング」は、機能の豊富さで人気のビデオ会議アプリ。会議を開くオーナーはアカウント登録する必要があるものの、招待された人はアカウント登録やサインインなしで会議に参加できます。事前にアカウント情報のやりとりをしなくて済むのはラクですが、Webブラウザからの参加では一部の機能が使えないため、現実的に考えると事前に「アプリをインストールして」と伝えて、準備してもらったほうがいいでしょう。
無料で利用できる基本プランでは、グループビデオ通話は1回あたり40分まで(1対1は無制限)となっていますが、参加者全員ではなく参加者の中の数人だけで個別会話ができるブレイクアウトルーム機能、手書きメモが書けるホワイトボード機能、任意の背景を設定できるバーチャル背景機能、顔を美肌に映してくれるビデオフィルタ機能など、豊富な機能が利用できるのが魅力です。
なお先日、独立行政法人情報処理推進機構からZoomの脆弱性に関する情報も出ているので、利用する人は確認してから利用しましょう。
Zoom の脆弱性対策について
https://www.ipa.go.jp/security/ciadr/vul/alert20200403.html
Zoom ミーティング
https://zoom.us/jp-jp/meetings.html
ブラウザ上でサクッと会議を開くなら「SOBA meeting」

- 費用:無料
- 最大参加人数:無制限
- 参加方法:Webブラウザ
- 主な機能:ビデオ通話、テキストチャット機能、画面共有機能※、ファイル共有、ホワイトボード機能
- 会議URL:固有のURL(自動生成)
※Google Chrome、FireFoxのみ
SOBA meeting は、無料で使えるビデオ会議サービス。会議を開くオーナーは無料のアカウント登録をする必要がありますが、招待される人はサインアップもインストールも不要です。参加人数無制限、ファイル共有(Office文書、静止画、PDF)やホワイトボード機能も利用できます。
会議URLは、会議室を作ると連番のURLが生成されます。いつも同じ会議URLを使うこともできますが、適当にアクセスした第三者が会議室に入ってしまうリスクも考えられるため、毎回同じ会議室を使わずに、その都度会議室を作成して終了後に会議室を削除する、といった使い方がいいでしょう。そのため時間を決めてサクッと打ち合わせする用途に適しています。
セキュリティが気になる、もっと便利に使いたい、という人には、有料版の「ミエルカ・クラウド」もあります。
SOBA meeting
https://meeting.soba-project.com/
任意のURLで会議を開ける「Lite FreshVoice」

- 費用:1アカウント×1URL 月額15,000円〜(14日間の無料トライアルあり)
- 最大参加人数:5人
- 参加方法:Webブラウザ(マルチデバイス対応)
- 主な機能:ビデオ通話、画面共有機能、テキストチャット機能、録画機能(ローカル保存)、入室パスワード
- 会議URL:任意のURL
「Lite FreshVoice」は、PC、タブレット、スマホのWebブラウザ上で利用できる日本生まれのビデオ会議システム。提供会社によると、音声がクリアで高品質なところが推しポイントだそうです。
会議を開くオーナーは有料のアカウント登録が必要ですが、他の参加者はログイン不要・インストール不要です。基本機能は、ビデオ通話、画面共有、ローカル録画、チャットのみとシンプルですが、わかりやすいUI、日本語でも設定できる会議URL、入室パスワードなど、利用者のITリテラシーを気にせず利用できそうな印象です。
より大人数で利用したい人には、最大250人まで同時参加できる上位版「FreshVoice」もあります。
Lite FreshVoice
https://www.freshvoice.net/lite/
あると便利かも!? オンラインホワイトボード
ビデオ会議をしていると「イメージをイラストで伝えたい」「手書きメモで指示したい」など、より深いディスカッションをしたい場面があります。そんなときに便利なのが、オンラインホワイトボードです。
Jamboard アプリ

「Jamboard」はG Suite向けのデジタルホワイトボードデバイスですが、オンラインミーティング向けにWebアプリ、モバイルアプリが提供されています。各アプリは無料のGoogleアカウントでもJam(オンライン上のホワイトボード)を作成でき、参加者を招待することで共同利用します。手書きメモのほか、付せんや画像の追加もでき、モバイルアプリからはGoogleドライブのコンテンツを追加することもできます。ホワイトボードの内容はクラウド上に自動で保存され、PDFファイルとしてダウンロードすることもできます。
Jamboard Webアプリ
https://jamboard.google.com/
Microsoft Whiteboard アプリ

「Microsoft Whiteboard」は、Microsoftが提供するオンラインホワイトボードアプリ。Webアプリ、Windows10アプリ、iOSアプリが提供されています。利用するにはMicrosoftアカウントまたはOffice 365アカウントが必要です。Webアプリでは一部の機能しか使えませんが、Windows10アプリやiOSアプリを使えばテキストや付せん、カメラロールの画像などを追加できます。手書きの線を検知して自動で表や図形に変換してくれもの特徴です。ホワイトボードの内容はクラウド上に自動で保存され、PDFファイルとしてダウンロードできるほか、「Microsoft Teams」の利用者であればTeamsに投稿することもできます。
Microsoft Whiteboard Webアプリ
https://whiteboard.microsoft.com/
まとめ
いかがでしたか。今回はオンラインミーティングサービスとしてビデオ会議サービスを中心に紹介しました。お互いの姿を映像で見ながら会話するなら「FaceTime」「Google Duo」「LINE」「Facebookメッセンジャー」などの無料通話アプリのグループビデオ通話や、ビジネスチャットツールのビデオ会議機能といった選択肢も考えられます。
より効率的にオンラインミーティングを行うには、参加メンバーや議題にあわせたサービスやツールの使い分けもポイントになるかもしれません。今回の記事が参考になれば幸いです。