Web業界での仕事というとWebデザイナー、Webディレクター、Webエンジニアなどの「Webサイトの制作」を行うポジションが思い浮かぶ方が多いのではないでしょうか。
しかし、Webサイトの本質は「何かの目的を達成するため」ということです。
当然、作って終わりなんてことはありません。
例えば、何かの情報を発信するWebサイトであれば、当然そのページが「どのくらい閲覧されたか」が重要になってきます。
そしてその数字を元にどのような情報が求められているのかを予測し、成果が上がるようにページ内の構成やデザインを修正したり、新しいコンテンツを追加していく必要があります。
そんなWebサイトの運用で活躍するのが「Googleアナリティクス」というツールになります。
今回はこのKROWL MAGAZINEを日々運用しているフロントエンドエンジニアのくめっちがGoogleアナリティクスの使い方や設置方法、どのように活用するかなどを紹介していきます!
Googleアナリティクスとは?何ができる?
「Googleアナリティクス(略称:GA)」とはGoogleが提供している、WebサイトやWebアプリケーションなどのアクセス解析ツールです。
主にWebディレクター、Webマーケター、Webアナリストなどの職種の方が使用する機会が多いツールです。上記のような職種でなくても僕のように自社のサービスを運用する方であれば触る機会があります。
- Webサイトなどを閲覧している人がどんなサイトから訪れたのか
- いつどのページがどのくらい見られているのか
- どのページにどのくらい滞在していたのか
- そのページからどのようなページに遷移したのか
- どのようなデバイス(PCやスマートフォン)でどのくらい見られているのか
などWebサイトを運用していく上では欠かせないユーザーの行動を計測してくれます。
しかも単なる数値などで情報が並んでいるのではなく、下図のようにグラフや表などの視覚的にわかりやすい形で表示されているので、Webサイトの運用では必ずといっていいほど使用されています。

実際に国内の上場企業3,558社のコーポレートサイトで「利用しているWebサービス」を対象に調査した結果では約85%を超えるシェアを確立しています。
- Google アナリティクス 85.63%
- Display & Video 360 55.32%
- Google Fonts 41.47%
- Google Developers 31.21%
- Googleタグマネージャ 25.92%
Googleのサービスが上位を独占していますね。
Web業界で働くことを考えているのであれば必ずと言っていいほどGoogleのサービスに触れる機会があるので、一つアカウントを作成して試しに触れてみることをオススメします。
Googleアナリティクスは通常版では無料で使用することができ、「Googleアナリティクス360」という様々な追加機能やサポートが付いてくる有料版も展開しています。
今回は基本の機能のみの紹介となるので主に通常版での解説となります。
設置方法
では実際にGoogleアナリティクスを使用するための準備をしていきましょう!
1. Googleのアカウントを作成する。
まず最初にGoogleのアカウントを作成します。
普段からGメールなどを使っている方などはそのまま使っていただいて構いません。
2. Googleアナリティクスのアカウントを作成する。
公式サイトにアクセスし、Googleアナリティクスのアカウントを作成します。

サイトの基本的な情報を画面の指示に従い入力していきます。
3. トラッキングコードの設置
一通りの情報が入力し終わったら「トラッキングコード」という下記のようなコードが発行されます。
こちらをサイト上に配置することでGoogleアナリティクスでそのサイトのアクセス情報を確認することができます。
HTMLの<script>タグが発行されるので、サイトの<head>タグの中に設置しましょう。
<!-- Global site tag (gtag.js) - Google Analytics -->
<script async src="https://www.googletagmanager.com/gtag/js?id=UA-000000000-0"></script>
<script>
window.dataLayer = window.dataLayer || [];
function gtag(){dataLayer.push(arguments);}
gtag('js', new Date());
gtag('config', 'UA-000000000-0');
</script>
上記のようなコードを設置すると、Googleアナリティクスでアクセス情報が確認できるようになります。
4. Googleアナリティクスで確認する。
実際にアクセス情報が取得できているのか見てましょう。
先ほど作成したGoogleアナリティクスのアカウントでログインをして画面左のメニューから「リアルタイム > 概要」をクリックしましょう。

このメニューでは今現在、登録したサイトに誰かがアクセスしているかどうかが確認できます。
自分のサイトにアクセスして、上記画像のように自分のアクセスが確認できれば設置終了です!
使い方
設置も完了し、いよいよGoogleアナリティクスで具体的に何ができるのかを紹介していきたいと思います!
基本的には管理画面の左側に表示されているメニューから各機能に切り替えていくという使い方になります。

今回はこの機能を一つずつ紹介していきたいと思います。
リアルタイム

先ほどコードの設置でも確認した項目ですね。
こちらは今まさにWebサイトを閲覧している人を文字通り「リアルタイム」で解析します。
- 概要
- 地域
- トラフィック
- コンテンツ
- イベント
- コンバージョン
といった項目を確認することができ、
「どのようなユーザー」が「どのようなページ」をみて「どのような行動をしたか」をリアルタイムで計測することができます。
こちらは秒単位で計測できるので地域を絞ったキャンペーンや現在の集客状況を把握するなど、スピーディに検証を行いたい場合に活用されます。
活用例としては「SNSでサイトへのリンクを貼った投稿をした直後」など何か施策を行なった直後に、その効果が出ているか確認するなど、すぐに情報が欲しい時に使用します。
Webサイトそのもの以外にもPRの施策がうまくいっているかなどが測定できるのでおすすめです!
オーディエンス

続いて「オーディエンス」のメニューです。こちらはサイトにアクセスしてきたユーザーについての情報が記載されています。
アクセス数はもちろん、デバイスやOS、性別、年齢など様々なものを測定することができます。
上記画像のように、指定した期間のユーザー数、ページビューなど概要が1ページにまとまっているのでログインをしたらまずはここを確認するべきでしょう。
Googleアナリティクスを初めて扱う方などはまずこの項目を見て、自分のサイトがどのような見られ方をしているのか確認してみることをオススメします!
活用例としてはユーザーのデバイスがどのようなもので使われているのかを調べて、PCよりスマートフォンを使っているユーザーが多いのであれば、各要素をスマートフォンで見る前提で組み立てるなどの改善を行うことができます。
集客

「集客」のメニューではユーザーが自分のサイトにどこからアクセスしてきたかを確認できます。
検索やSNS、他サイトのリンクなど流入元の一覧が表示されるので行なってきたPRの結果などを測定することにも繋がります。

画像のように、「Direct」や「Referral」と書かれているものから流入が多い順に並んで表示されます。
それぞれの名称に対応するものを下記にまとめておくので自分のサイトのユーザーがどこから流入しているのか確認してみましょう!
- Direct
URLから直接流入 - Organic Search
検索からの流入 - Referral
別のサイトに貼られているリンクからの流入 - Social
SNSからの流入 - Paid Search
広告からの流入 - Other
その他の流入
例えば「Organic Search」の順位が低い場合、施策としてSEO対策を強化することで流入を増やすことができるかもしれませんし、「Social」の順位が高いのであればSNSでの拡散が効果を発揮しているという見方ができます。
また、Google Search Consoleと連携することでどのようなキーワードで検索をしてユーザーが流入しているのかを調べることもできます。
このKROWL MAGAZINEのように日々、記事を投稿するようなサイトの場合、今後意識するべきワードなどの指標にもなるので積極的に確認しましょう!
行動

「行動」のメニューではどこのページに流入したのか、ページビューや滞在時間などのユーザーがサイト内で行なった行動について確認することができます。

特に上記の各ページのページビューは毎日確認しています。
単純にページビューが多ければ良いという訳ではなく、離脱率や平均ページ滞在時間など様々な要因によってそのページに対してのユーザーの行動が判断できます。
このページに関しても、もちろんどのくらい見られたかを計測します。
今現在書いているこの文章はページの中でも中盤以降にあたる部分です。ということはここまでしっかり読んでいただいた方が多ければ、平均ページ滞在時間が長くなる。
つまりこの記事が読みやすいということになります。
…そうなってくれることを願っております!
コンバージョン
最後のメニューとなる「コンバージョン」ですが、このメニューのみ他の項目と少し異なっています。
これまでのメニューは
- いつ
- どんな人が
- どこからきて
- 何をしたか
というように必要な要素が「Webサイト」と「ユーザー」の2点のみでしたが、冒頭でもお話しした通り、Webサイトの本質は「何かの目的を達成するため」の手段です。
当然、「何かの目的」を設定しなければなりません。
GoogleアナリティクスではWebサイト上でのユーザーの特定の行動を目標として設定することができ、その目的に対しての結果をこのメニューで確認することができるのです。
というわけで目的を設定しないとこちらのメニューは開いても何も出てこないのですが、後ほどこちらの設定方法は紹介させていただくとして、こちらでは項目の説明をさせていただきます。

こちらのメニューは設定した目標がどのくらい達成できたのかを確認することができます。
例えば、設定したものが「特定ページへの到達」であればそのページがどのくらい見られたのかはもちろん、どのようなページを経由してそのページに到達したのか、目標を達成したユーザーはどのような方法で自分のサイトへ流入したのか(SNS流入、検索流入など)を確認できます。
サイト内の回遊や企業やサービスのファン化が目的であれば他の項目の方が重要かもしれませんが、サイトの特定の行動が目的の場合はこちらが最重要項目となります。
基本的にはここの数字を伸ばすことを指標とするべきでしょう。
活用例としては目標に設定した項目を達成したユーザーの流入元としてSNSが多い場合、今後のPR施策としてはそこに注力すべきなど、より明確な対策を考えることができます。
目標の設定
「コンバージョン」のメニューで確認する目標の設定をしていきます。
今回はこの記事用にテストサイトを作成したのでそちらを使って進めていきますので、
皆さんも実際に手を動かしながら見ていただくといいかもしれません。
テストサイトでは測定をしやすくするために複数のページを用意しました。
作成したページは下記の3ページです。
- TOPページ(/index.html)
- ABOUTページ(/about/index.html)
- COMPANYページ(/company/index.html)
今回は例として「ABOUTページ」へのアクセスをすることを目標として設定してみましょう。
下記の画像のようにメニューの中の「管理」と書かれている項目をクリックします。

表示された画面の「ビュー」というタブの中の「目標」と書かれた項目をクリック。

「新しい目標」と書かれた赤いボタンをクリック。

ここから目標の設定を行います。
- 目標設定
- 目標の説明
- 目標の詳細
と3つの項目を入力することで設定完了となります。
下記のようにすでにGoogleアナリティクスの方で汎用的な目標をテンプレートとして用意してくれています。
もし自分のサイトに適した目標があればそちらを設定していただいても構いませんが、今回は「カスタム」を選択し、その下にある「続行」ボタンをクリックします。

次の「目標の説明」は具体的にどのような目標なのかを設定します。
今回は名前の項目に「ABOUTページへの遷移」、タイプを「到達ページ」へと設定しました。
今後、管理画面にて表示されるので名前の部分は一目で何に対しての目標なのかわかるような名称を設定しましょう!

最後に目標の詳細を設定します。
先ほどの項目で「到達ページ」を設定したのでURLを入力する項目があります。
他にもコンバージョンに到達することで得られる金額(値)や、フォームなどのページのようにその画面に到達するまでに経由するページ(目標到達プロセス)などの項目がありますが今回はオフにしておきます。

そして全ての項目が完了したので「保存」のボタンをクリックしましょう。これで目標の設定が完了です!
実際に設定したページにアクセスして「リアルタイム > コンバージョン」からコンバージョンが取得できているか確認してみましょう!

しっかり取れていますね!
このように設定した目標の統計を確認できるのが「コンバージョン」メニューになっています。
イベントトラッキング
先ほど「目標」の部分で「特定ページへの到達」はご紹介しましたが、ページ遷移を伴わないような行動も計測したいという場面もあるかと思います。
例えばダウンロードの回数であったり、複数要素のクリック回数の比較であったり、より細かいユーザーの行動を計測ができたら便利ですよね。
実は「イベントトラッキング」という機能を使うことで上記のような場面のデータを取得することが可能です。
ただしこちらはサイトを構成している要素のコードに追記をしなければならないので、エンジニアなどある程度HTMLなどの知見がある方が設定を行うことをオススメします。
例として下記のようなページのボタンのクリックを計測してみます。

こちらはテストサイトのTOPページになります。
ボタンのコードを見てみると下記のようになっています。
<button class"common_button">Click here</button>
こちらのボタンにクリックされた時にGoogleアナリティクスにイベントを送るようにコードを追加します。
<button class"common_button" onclick="gtag('event', 'click', {'event_category': 'ボタン', 'event_label': 'ボタンのクリック'})">Click here</button>
「event_category」や「event_label」などは任意の文字を設定することができます。
実際に取得できているのか確かめてみましょう。

「リアルタイム > イベント」を開いてボタンを押した際に上記のようにイベントの情報が反映されていればOKです!
ダウンロードボタンなどの場合はサイト自体の目的にもなりうるので、目標の設定でご紹介した手順を行い、コンバージョンのメニューにも出力されるようにしましょう。

他にも様々なイベントが測定できるので担当のエンジニアに相談しつつ色々試してみましょう!
まとめ
Webサイト運用には欠かせないGoogleアナリティクスについて紹介しましたが、実際にはこれらの設定をしたからといってWebサイトそのものが何か変化するわけではありません。
ただ見るだけではなくきちんとこれらのデータを分析して「どのような傾向が出ているのか」、「どのような改善策が考えられるか」などを挙げていくことではじめて活きてくるものです。
何をそのサイトの目的とするかで見るべき項目は変わりますが、これらのデータを確認することで売り上げを上げるための施策が見えてくることもあります。
今回紹介した機能以外にも様々な機能が組み込まれているので、是非とも自分の目的に合わせて活用してみてください!