前回の記事でWebディレクターは「制作ディレクター」と「運用ディレクター」に二分できると紹介しました。
そこで今回は運用ディレクターについて、その仕事内容から平均年収まで、全容を解説していきたいと思います。
目次
運用ディレクターの仕事内容
運用ディレクターは、Webサイト運用(定期的な更新業務)を担当するWebディレクター。Webサイト運用担当者(https://magazine.krowl.jp/4476/)などと連携して、Webサイトを常に最新の状態に保ち続けることをミッションとしています。
企業サイトのニュースリリース公開、オウンドメディアの記事追加、ECサイトの終売商品の削除、商品リニューアルに伴う画像差し替えなど、Webサイトを運用していると多くの更新業務が発生します。毎月どの日にどんな更新があるか、クライアントとすり合わせをしてスケジュールを立て、それぞれの更新作業が期日に公開できるよう各スタッフを指揮していきます。
運用ディレクターは各スタッフの作業漏れがないよう更新指示書や作業リスト、スケジュール表などを作成してプロジェクトを管理します。また、効率的に運用できるよう業務フローをルール化した業務マニュアルを作成することもあります。
更新指示書は、作業内容を箇条書きにしたものから、Webサイトのスクリーンショットを撮って、作業内容を詳細に記すものまで、作業内容にあわせて、という感じです。
以前にコミュニケーションツールとしてご紹介いたしました「AUN」というサービスを使った更新指示書などもあります。
スケジュール表は、各タスクを一覧化した「WBS(Work Breakdown Structure)」やグラフ化した「ガントチャート」などの形で作成するのが一般的。Microsoft Excelで作る場合もありますが、プロジェクトの規模によってはRedmineやBacklog、Wrinkなどの有料プロジェクト管理ツールを導入することもあり、その場合はタスクの登録なども行います。
各スタッフの作業が終わったら、作業が正確にできたかをチェックしてクライアントに提案。OKが出たら納品(公開)します。
運用ディレクターのやりがい
0から1をつくるといよりは、効率的に正確に更新作業を行うことでWebサイトのクオリティを高く保つのがWebサイト運用業務の面白さ。
何かがガラリと変わるという目に見える分かりやすさはありませんが、ミスやトラブルなくWebサイトを維持し続ける大変さを知るとやりがいも大きいです。
また、運用ディレクターの中には「更新作業をどれだけ効率化できるか」ということに燃える人もいます。
運用ディレクターのキャリアパス
新規構築を担当するか運用を担当するかの違いはありますが、運用ディレクターもWebディレクターです。現場経験を積んでいくと、制作現場のリーダーからプロジェクト全体のリーダー、組織のリーダーへと進んでいくことが多いようです。
Webプロデューサー、プロジェクトマネージャー、管理職、経営層などのキャリアパスが考えられます。
制作現場が好きな人の中には、Webディレクターを続けたり、フリーランスになる道もあります。
運用ディレクターに向いている人
クライアントと制作スタッフ、社外と社内のプロジェクトメンバーをつなぐ大切な役割を担うため、コミュニケーション能力の高い人は向いています。
ここでいうコミュニケーション能力は、おしゃべりが上手とかトークが面白いなどではなく「意図を正確に受け取って、相手に正確に伝える」能力。その点では曖昧なモノを曖昧なままにしない、カッチリした性格の人も運用ディレクター向きと言えるでしょう。
未経験から運用ディレクターを目指すには?
Web制作会社によっても異なりますが、未経験の場合は、ある程度制作フローが決まっている運用業務で経験を積んでから運用ディレクターになるケースが多いようです。
運用ディレクターとして採用されても最初のうちは先輩のアシスタントとして経験を積みながら、運用ディレクターとして独り立ちしていくのが一般的です。経験がなければなれない、という職業ではありません。
異業種でもチームを率いて仕事をした経験があれば、運用ディレクターの仕事に活きるはずです。
平均年収は?
Webプロデューサー/ディレクターの平均年収は450万円程度と言われています。
20代:366万円
30代:464万円
40代:530万円
50代以上:573万円
仕事に活かせる経験・スキル・資格って?
特別な資格は必要ありませんが、Web制作・運用に関する知識や経験、スキルがあると、洗い出せるタスクの精度があがったり、精緻なスケジュールが引けたり、仕事面で生きていきます。
また、制作物のチェックにおいても、Web制作の知識は助けになります。
▼公益社団法人 全日本能率連盟 Web検定 Webディレクター
https://webken.jp/direction/
▼情報処理技術者試験ITパスポート
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/index.html
▼公益財団法人画像情報教育振興協会 Webデザイナー検定
https://www.cgarts.or.jp/kentei/about/web/
▼ホームページ制作能力認定試験
https://www.sikaku.gr.jp/web/hp/
最近の動向(仕事のトレンド、求人量など)は?
運用ディレクターも含めて、Webディレクターは常に人材不足の傾向にあります。Webサイトの運用業務を1件獲得するだけで、数年間の売上の見通しが立つこともあるため、運用業務に力を入れる制作会社もあります。効率的に、正確に、運用業務を指揮できる運用ディレクターの求人は増加傾向にあります。
また、Webデザイナーやエンジニアのような「手に職」系よりも未経験者のハードルは低く、入社時のスキルよりも人柄を重視する「育成枠採用」も増えてきています。
まとめ
今回は運用ディレクターについて細かく解説してきました。
Webサイトの運用業務に「業務マニュアルに沿ってやる地味な仕事」というイメージを持つ人もいますが、クライアントにとっては社会の評価や株価を左右する重要な仕事。Webサイトの運用業務は、とても大きな責任を持つ仕事です。そのことを理解している人にとっては、非常にやりがいを感じられる仕事になるでしょう。
また、「運用業務を経験していないWebディレクターはいないのでは?」というほど、Webディレクターのベースになるスキルが得られる仕事で、Webディレクターとしてキャリアをスタートする人に向いている仕事と言えます。
Web業界にはプロデューサー、ディレクター、デザイナー、エンジニアなど、全く違った持ち味を活かして働ける職種があります。
どこに適正があるか、今はまだ自分では分からないかもしれませんが、実際やってみたり、現場の人に話してみたりすることで、自分の道が見つかるかもしれません。
Web業界に興味がある方は、ぜひチャレンジしてみてください。
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