皆さんはWebディレクターがどんなことをしているか知っていますか。
デザイナーやエンジニアのようにデザインをしたり、コーディングをしたりすることはありません。
しかし、逆に言うとそれ以外のほとんどがWebディレクターの業務という人もいるのです。
そのくらい業務領域の広いWebディレクターですが、担当する工程によって以下のような3つに分類することができます。
1.企画ディレクション
2.制作ディレクション
3.運用ディレクション
いかがでしょう。Webディレクターだけでも3つの職域に分かれていることはWeb業界で働いている人以外には、あまり知られていないのではないでしょうか。
今回から3回分に渡りWebディレクターのお仕事について紹介していきます。
目次
企画ディレクションとは
企画ディレクションとはその名の通り、お客様の抱える課題を解決する手段を企画する(考える)工程になります。
思い浮かべやすい具体的な作業の一例をあげると「企画書を作成する事」ですね。
ただ企画といっても、ただ面白いことをやろうという企画ではありません。
クライアントが持っている課題に対して、Webを活用してどのように解決していくかを考えていかなければならないのです。
※Web以外の解決方法が最善となれば、別の方法の提案になる場合も!会社によって目線は違ってきます。
では企画ディレクションの一つである「企画提案書」を具体的に見ていきましょう。
Webサイトの改修が課題解決の最善の方法となった場合、提案書の流れはおおまかに説明すると以下のようになります。
■与件の整理
↓
■ターゲットの整理(ペルソナの設定)
↓
■現状サイトの改修点
↓
■ページ構成の提案
↓
■デザインの提案
↓
■サイトマップの提案
↓
■制作スケジュール
↓
■体制図
↓
■概算見積もり
「企画ディレクションだけでもこんなに仕事があるの!」と驚いた方もいたのではないでしょうか。
しかも、まだ実際の制作に入っていないのだからWebサイトを制作するということはとても手間がかかることなんです……。
今回は企画ディレクターが企画書を作成するために行うフローを順番に説明していきたいと思います。
与件の整理
まず初めに企業が抱えている課題を整理し、解決する方法を考えていかなければなりません。
飲料メーカーであるA社の例を見てみましょう。
近頃A社は新商品の炭酸飲料を発売しましたが、中々売れ行きが伸びません。
特にオンライン販売の売り上げが絶望的でした。
相談を受けたディレクターがサイトを見たところ、
「どの商品がメインなのか、写真がわかりづらい」
「購入までのフローが多すぎて手間がかかる」
「スマートフォンで見た際にページが長すぎる」
などの欠点が見つかりました。
それが商品販売の致命的な問題であると判断しました。
そこでWebサイトをリニューアルして新商品の売れ行きを伸ばそうという流れになるのです。
このように企業の課題を抽出して、どのように解決していくのかを考えていくのが与件の整理段階です。
ターゲットの整理(ペルソナ)
どんな商品を販売するにしても、まず「誰に買ってもらいたいか」を明確にしなければいけません。
この作業をしないで商品やサービスを売り出すということは、方位磁石も持たず大海原へ航海に出るようなものです。
その方位磁石、言い換えると進むべき方向を決めるために、ターゲットを整理する必要があります。
ターゲット整理の具体的な流れは
1.どんな顧客がいるかを明らかにする
まず初めに販売したい商品やサービスをどんな人が購入したり利用したりするのかを想定します。
2.ペルソナの作成
次にペルソナを作成します。
簡単に説明すると、売り出すものを実際に使用するユーザーを架空で作ってしまうことです。
例えば、炭酸飲料を売り出したいのであれば
- 20歳
- 男性
- 都内通学
- お洒落が好き
- 趣味はスポーツ
などなど
詳細な人物像を設定していきます。
その際生まれた地域や通った学校など、詳細に決めれば決めるほどターゲットの設定として効果的です。
3.ストーリーを作る
最後に作成したペルソナがどのような流れで、商品を購入するかというストーリーを考えていきます。
このようにターゲットを明確化することからWeb制作は始まるのです。
ターゲットが明確化されれば、そのターゲットが好むサイト制作へ舵を切って進めやすくなりますね。
現状サイトの改修点
このように現状サイトの画像を添付し、そこに課題点を書き込んでいきます。
この段階でページの課題を洗い出しておかないと、どのようなページにリニューアルしていくかという構成やデザインを組みづらくなってしまいます。
改修すべき部分は徹底的に洗い出し、クライアントと共有しリニューアル後の効果を最大化しましょう。
ページ構成に関して
企業に提案するイメージサイトの構成をしていきます。
会社によって呼び方は様々なのですが「ワイヤーフレームを作成する」「構成書作成する」という呼ばれ方が一般的です。
簡単に説明するとWebサイトの骨組みを作成することになります。
家を建てるにもマンガを描くにも始めに大まかな骨組みが必要ですよね。
このような作業のWeb制作バージョンと考えるとイメージしやすいのではないでしょうか。
ここでの構成の目的は訪問者の導線を最適化、その内容をクライアントに説明する事です。
提案書の段階ではTOPページや、特にアクセス頻度の高いページの大まかな構成を掲載します。
全ページの構成は提案が通った後、詳細に作りこんでいきます。
デザインサンプル
先ほど説明した構成を元にデザインサンプルを作成します。
デザインサンプルを提案することで、クライアントにサイトのイメージを共有します。
基本的にはコンセプトが決まっている中で、クライアントと話し合いを繰り返しながら詳細なデザインを決定していきます。
この段階の前にコンセプトを決めておくと、よりスムーズに制作に移ることができるのですが、コンセプトが決まっていない状態でデザインサンプルを提案することもあります。
その際は制作側で仮コンセプトを組み、いくつかのパターンを提示する形をとります。
ここでのデザインサンプルを元に方向性を決定し、制作に進むことになります。
サイトマップに関して
サイトマップを作成することで、ページ数や各ページごとの紐づきを明確にしクライアントに共有します。
またページ数を明らかにすることで、「~ページだと~円くらいかかります」というように、おおよその予算を提出することができます。
スケジュール
サイトマップを元にデザインや開発のスケジュールを作成します。
大まかに説明すると、
- 全ページのワイヤーフレームを引き、ウェブサイトに掲載するテキストや画像・動画などの素材を決定する期間
- デザインを起こす期間
- コーディングをする期間
の3つに分けて表記することが多いです。
提案書中でのスケジュール掲載における一番の目的は公開日を明確にし、クライアントと認識を合わせることにあります。
体制図
Webサイト制作をするにあたって、参加するメンバーの名前や職種名を記載していきます。
体制図を記載することで、クライアントはサイトを実際に制作するメンバーを把握することができるため、安心感を与えるという意味合いも持っています。
場合によっては、顔写真や経歴などの簡単なプロフィールを記載することもあります。
概算見積もり
ページ数や組み込むシステムなどをもとに、制作にかかるおおまかな金額を設定していきます。
制作をしている中で、クライアントから新たな要望があった場合は、その都度更新されていきます。
また、1ページのLPやキャンペーンサイトの制作などの場合、ページ数ではなく工数を元に見積もり金額を設定することもあります。
また見積もりには注記として、
- 写真、文章等のサイト素材の取り決め
- 瑕疵期間に関して
- PC・SPでのサポートブラウザや表示横幅に関して
等の詳細な注意点も記載します。
最後に
皆さん企画ディレクションがどんなお仕事か少しはイメージできたでしょうか。
企業がどんな課題を抱えているか、どんなサイトにするか、どれくらい金額がかかるかなど、Webサイトを実際に制作するための準備段階を担当する事が企画ディレクションです。
次回は制作の進行を行う
を紹介します。お楽しみに。